本稿で使用する記号
記号 意味

A[ARC]

Aが文語的であることを示す。

A[VLG]

Aが口語的であることを示す。

*A

Aが実際にはなく、何かを論じる上で仮想的に記載していることを示す。

A > B, B < A

AからBへ導き出される、派生する、変化することを示す。

音と文字

ムルバリア語は、25のラテン文字を用いて表記します。 表記と音の対応が素直であり、表記の通りに、いわゆる「ローマ字読み」をすればだいたい大丈夫です。 ASCII文字なので、コンピュータ上でも扱いやすくなっています。

()書きの文字は、ギリシア語を主とした外来語を記述する時に使用する文字です。

ラテン文字

音価

英単語の例

A a

/a/

Art

B b

/b/

Beer

C c

/k/

Cake

D d

/d/

Direct

E e

/e/

Express

F f

/f/

Family

G g

/g/

Grand

H h

/h/, 無音[VLG]

Have

I i

/i/

Italia

J j

/j/, /ʒ/[VLG]

You, Journal

(K k)

/k/

King

L l

/l/

Long

M m

/m/

Mother

N n

/n/

No

O o

/o/

Orchestra

P p

/p/

Problem

Q q

/kʷ/

Question

R r

/r/

Red

S s

/s/

Study

T t

/t/

Table

U u

/u/

Ultra

V v

/w/, /v/[VLG]

West, Victory

X x

/ks/

syntaX

(Y y)

/j/

You

(Z z)

/z/, /ʦ/[VLG]

Zoo, caTS

母音 u, o, a, e, i とアクセント

母音は u 「う」, o 「お」, a 「あ」, e「え」, i「い」 の5つです。

ムルバリア語のアクセントの付け方は、強弱アクセントです。 アクセントを明示する場合は母音の上にアクセント記号を付します (ù, ò, à, é, í) 。 しかしながら、アクセントは文法上たいして重要でないため通常は書きません。

たいていは後ろから2音節目にアクセントがあり、強く読みます。

  • li-bér-tas 「り ルたス」 自由

  • mà-nus 「 ぬス」 手

後ろから1音節目や3音節目などにアクセントがあるケースもあります。

  • caf-fé 「かっ ふぇ 」 コーヒー

  • vé-ri-tas 「 うぇ りたス」 真実

半母音 j, v

j, v は半母音といい、母音 i, u の短い音ですが、子音の役割をにないます。 日本語でいうところの や、わ の音になります(古典式)。 じゃ、ゔぁ の音で読んでもかまいません(現代式)。

  • jus /jus/ 「ゆス」 または /ʒus/[VLG] 「じゅス」 権利

  • vinum /winum/ 「うぃぬム」 または /vinum/[VLG] 「ゔぃぬム」 ワイン

h

h は「は」音を表しますが、現代式では無音になります。

  • homo /homo/ 「ほも」 または /omo/[VLG] 「おも」 人

q

q は qua, que, qui, quo, quu のときにだけ現れ、 /kʷa/ くゎ のように読みます。

  • aqua /akʷa/ 「あくゎ」 水

  • perque /perkʷe/ 「ぺルくうぇ」 なぜ

x

x は /ks/ くす の音を表します。 このためムルバリア語において原則 « cs » の綴りが現れることはありません。

  • nox /noks/ 「のクス」 夜

k, y, z

k, y, z はギリシア語を主とした外来語で使います。 k, y は、それぞれ c, j と同じ音です。 z はざ音(古典式)またはつぁ音(現代式)です。

  • Kibotos /kibotos/ 「きぼとス」 方舟

  • Mykene /mjkene/ 「みゅけーね」 ミュケーネ島

  • Kyoto /kjoto/ 「きょーと」 京都

  • zephirum /zefirum/ 「ぜふぃるム」 または /ʦefirum/ 「つぇふぃるム」 ゼロ

名詞

名詞は基本的に語幹と語尾の2つの部分でできていて、 語尾は2つの数(単数、複数)と3つの格(主格、対格、奪格)ごとに異なる形を持ちます。 語尾の形は大きく分けてA型、O型、E型の3種類の規則形があり、 さらにO型、E型は派生のOn型、En型があります。

A型

O型

On型

E型

En型

単数

主格

-a

-us

-um

(-is)

(-is)

対格

-am

-um

-um

-em

(-is)

奪格

-ae

-o

-o

-e

-e

複数

主格

-ae

-i

-a

-i

-ia

対格

-as

-os

-a

-es

-ia

奪格

-is

-is

-is

-ibus

-ibus

このように名詞やそれに準ずる語が語尾を変化させることを「屈折 (l’inflection)」といいます。 この中で、単数主格が基本の形です。

また、名詞は屈折のパターンとは別に「性」という分類があり、 女性、男性、中性の3種類があります。 屈折のパターンと性の間には次の傾向があります。

  • A型 : 女性がほとんど、わずかに男性もある

  • O型 : 男性がほとんど、わずかに女性もある

  • On型 : 中性

  • E型 : 女性も男性も多い

  • En型 : 中性

次の名詞 : penna ペン (女性, A型), librus 本 (男性, O型), verbum 言葉 (中性, On型), flos 花 (女性, E型), nomen 名前 (中性, En型) の屈折語尾は以下のとおりです。

A型

O型

On型

E型

En型

単数

主格

penna

librus

verbum

flos

nomen

対格

pennam

librum

verbum

florem

nomen

奪格

pennae

libro

verbo

flore

nomine

複数

主格

pennae

libri

verba

flori

nominia

対格

pennas

libros

verba

flores

nominia

奪格

pennis

libris

verbis

floribus

nominibus

不規則形

E型の単数主格、En型の単数主格・対格は不規則形が頻繁に現れます。 しかしながら、不規則といっても全く予想のつかない形になっているというわけではありません。 仮想的な規則形 (-is) から縮んだような形になっていることが多く、 大半は縮んでも末尾の /s/ 音が維持されています。

  • *voc-is > vox 声

  • *reg-is > rex 王

  • *flor-is > flos 花

  • *noct-is > nox 夜

  • *veritat-is > veritas 真実

  • *tempor-is > tempus 時間

末尾の /s/ 音が維持されないものもあります。

  • *station-is > station 駅

  • *nomin-is > nomen 名前

  • *homin-is > homo 人

仮想的な規則形 (-is) そのままのものもあります。

  • ign-is 火

辞書の見出し

辞書で、名詞の見出しは基本形である単数主格で書かれ、 性の情報が併記されます (n.m : 男性名詞, n.f : 女性名詞, n.n : 中性名詞) が、 さらに単数奪格形も添えられます。

  • penna 【n.f -ae】

  • librus 【n.f -o】

  • flos 【n.m flore】

  • tempus 【n.n tempore】

単数奪格形を添えるのは、単数主格形が不規則となる名詞において、 語幹と屈折パターンの情報を補足するためです。 たとえば tempus 「時間」という語は …​us で終わっているので一見してO型のように見え、 次のような誤った屈折語尾を導出してしまいがちです : tempus, *tempum, *tempo, *tempi, *tempos, *tempis 。 しかし、単数奪格形 tempore も添えられれば、 語幹が tempor- のE型/En型であることがわかります。 中性であることも加味すれば、最終的に次の正しい屈折語尾を導出することができます : tempus, tempus, tempore, temporia, temporia, temporibus 。

屈折しない名詞

« NATO » 「北大西洋条約機構」のような頭字語など、つづりを崩して屈折体系に当てはめることが難しい場合は、名詞は不変化とします。 普通は不変化のまま使いますが、数や格を明示したい場合には、 三人称の人称代名詞 is や強意代名詞 ipse を即座に立てて代える方法があります。

  • Ad 1999, Hungaria in NATO eum se adiungata habei. 1999年、ハンガリーはNATOに加盟した。

複数形のみの名詞

形態の上で複数形しか持たない語があります。 このような語は、複数・主格の形が基本形となります。

  • Parisi 【n.m Parisis】 パリ(フランスの首都)

ギリシア系派生

古典ギリシア語から直輸入した語はギリシア風の語形変化をある程度保ちます。 その形はA型、O型、On型、E型、En型に準ずるため、gA型、gO型、gOn型、gE型、gEn型とします。 親和性の高さから、イタリック祖語や印欧祖語から直輸入した語もこの変化に組み入れられることがあります。

gA型

gO型

gOn型

gE型

gEn型

単数

主格

-a

-os

-on

(-is)

(-is)

対格

-an

-on

-on

-en

(-is)

奪格

-ai

-oi

-oi

-ei

-ei

複数

主格

-ai

-oi

-a

-ei

-ia

対格

-es

-es

-a

-es

-ia

奪格

-is

-is

-is

-ibus

-ibus

次の名詞 : σῠμφωνῐ́ᾱ > symphonia (女性, gA型) 交響楽, ᾰ̓́νεμος > anemos (男性, gO型) 魂, μῆλον > melon (中性, gOn型) 果実, πόλις > polis (女性, gE型) 都市, ὄνομᾰ > onoma 名前 (中性, En型) の屈折語尾は以下のとおりです。

gA型

gO型

gOn型

gE型

gEn型

単数

主格

symphonia

anemos

melon

polis

onoma

対格

symphonian

anemon

melon

polen

onoma

奪格

symphoniai

anemoi

meloi

polei

onomatei

複数

主格

symphoniai

anemoi

mela

polei

onomatia

対格

symphonies

anemes

mela

poles

onomatia

奪格

symphoniis

anemis

melis

polibus

onomatibus

格とは、名詞または名詞に相当する語の文中における文法的役割のことです。 格の示し方は、言語によりさまざまです。 日本語は助詞(〜が, 〜を 等)をくっつけることで示しますし、 英語は語順によって示します。 ムルバリア語はどちらかというと日本語に近いですが、 格を示す部分が日本語の助詞のように分かれておらず、 名詞の一部(語尾)として組み込まれていて、それを変化させるような形となります。

日本語 ムルバリア語 英語

主語

助詞「〜が」をくっつける : « 猫塀の上を歩く。 »

語尾を主格形にする : « Un cottus sol muro cammina. »

動詞の直前に置く : « A cat walks on the wall. »

直接目的語

助詞「〜を」をくっつける : « 私の妹は猫抱く。 »

語尾を対格形にする : « Mia sororcula un cottum tene. »

動詞の直後に置く : « My little sister holds a cat. »

英語では語順が論理関係を決めるので、語順を変えると論理関係が変わってしまいます。 一方、日本語やムルバリア語は語順を変えても(ニュアンスは若干変わりますが)論理関係は変わりません。

  • 日本語 : 私の妹は猫を抱く。 / 猫を私の妹は抱く。

  • ムルバリア語 : Mia sororcula un cottum tene. / Un cottum mia sororcula tene.

  • 英語 : My little sister holds a cat. / A cat holds my little sister.

具体的に何を格として扱うかは恣意的なところがあります。 ムルバリア語では、主格対格奪格および与格の4つを格として数えあげることにします。

主格と対格

主格と対格は、動作主と被動作主を表します。 英語文法における主語、直接目的語に対応します。 ムルバリア語は、主格の機能と対格の機能を名詞の語尾によって示します。

  • Un homo un florem habe. 一人の男が一輪の花を持っている。

O型の単数主格 -us は呼びかける場合にのみ特殊形 -e を使うことができます。 ただ、これは古典ラテン語が有していた呼格の名残であり、古風な表現とされます。 標準的には呼びかける場合でも主格 -us を使います。

  • Et tu, Brute[ARC]. ブルータス、お前もか。

与格

与格は、 donere 与える などの文脈において、動作の向かう先を表します。 英語文法における間接目的語に対応します。 ムルバリア語は、基本的に与格形という独立した形を有さず、 対格形に前置詞 a (ad) を組み合わせて与格の機能を示します。 これは、英語の第3文型において間接目的語を to で示す方法 (S V O1 to O2) と似ています。

  • A miam sororculam la florem donetum habeo. 私の妹に花をあげた。

  • Ea omne die ad ium florem aquam done. 彼女は毎日花に水をやっている。

人称代名詞は例外として与格形を有します。

  • Ei la florem donetum habeo. 彼女に花をあげた。

  • Ea omne die ei aquam done. 彼女は毎日それに水をやっている。

また与格は、 Andare 行く や camminare 歩く などの文脈において目的地を、 esse, stare ある・いる などの文脈において所有、所在を表します。

  • A tuam casam ando in ho nocte. 今夜、あなたの家へ行きます。

  • Mihi nullum tempus a jocare est. 私には遊ぶ暇がない。

奪格

奪格は前置詞と組み合わせて用いることが基本で、 前置詞に応じた幅広い意味を呈します。

de + 奪格 は、別の名詞を修飾する所属・所有の機能を示します。 英語の of …​ に相当します。

  • Prima Linea de Filiis 少女前線 (Girls’ Frontline)

ある量のモノを表す時、量を表す方の語を主役の名詞として、 それをモノの方の語が de + 奪格 で修飾する形を取ります。 英語の a cup of coffee, a Lot of people のような言い回しに対応します。

  • unum bicarium de vino グラス一杯のワイン (ワインのグラス一杯)

da + 奪格 は、由来「〜から」という意味を表します。

  • Da Romae retornata sum. ローマから帰ってきた。

a (ad), in, sub, su といった相対的な空間の位置・とらえ方を示すような前置詞を奪格に組み合わせると、 動作がその地点、内側、下側、上側で行われること「…​で」を表します。

  • A Romae una melam comparo ne. ローマでリンゴを一つ買うかね。

  • Sub un albore dormebo. 木の下で眠っていました。

per, via, cum を組み合わせることで、原因や手段を表します。

  • Per miae sororculae iratae battutus status sum. 怒った妹に叩かれた。

  • Cum birotae veniti sumus. チャリで来た。

口語では、前置詞を省略して奪格単体で使うことがしばしばあります。

  • Mia sororcula omne matutae[VLG] me leva. 妹は毎朝起こしてくれる。

形容詞

形容詞は一つの語につき3性に対応するすべての語尾を持ちます。 その形は名詞に準じ、A/O型とE型の2通りあります。 形容詞の基本形は男性の単数主格です。

A/O型

E型

女性

男性

中性

女性

男性

中性

単数

主格

-a

-us

-um

(-is)

(-is)

対格

-am

-um

-um

-em

(-is)

奪格

-ae

-o

-o

-e

-e

複数

主格

-ae

-i

-a

-i

-ia

対格

-as

-os

-a

-es

-ia

奪格

-is

-is

-is

-ibus

-ibus

  • bonus, -o 良い

  • facilis, -e 簡単な、易しい

A/O型

E型

女性

男性

中性

女性

男性

中性

単数

主格

bona

bonus

bonum

facilis

facilis

対格

bonam

bonum

bonum

facilem

facilis

奪格

bonae

bono

bono

facile

facile

複数

主格

bonae

boni

bona

facili

facilia

対格

bonas

bonos

bona

faciles

facilia

奪格

bonis

bonis

bonis

facilibus

facilibus

用法は英語などと同様で、 名詞を修飾する用法と、 基本動詞 esse や stare と組み合わせて述語的に用いる方法があります。 いずれも、結びつける名詞の性、数、格を一致させるように形容詞の形も変えます。

名詞を修飾する場合、通常は後ろに置きます。 前に置く場合は、結びつきが強く、一つの語のように感じさせられます。

  • femina magna 大きな女

  • magna femina 大女

基本動詞と組み合わせて、述語になります。

  • Il flos bellus est. その花は美しい。

ギリシア系派生

形容詞にもギリシア語由来の語形変化があります。

gA/gO型

gE型

女性

男性

中性

女性

男性

中性

単数

主格

-a

-os

-on

(-is)

(-is)

対格

-an

-on

-on

-en

(-is)

奪格

-ai

-oi

-oi

-ei

-ei

複数

主格

-ai

-oi

-a

-ei

-ia

対格

-es

-es

-a

-es

-ia

奪格

-is

-is

-is

-ibus

-ibus

  • ἔσχατος > eschatos, -oi 最後の、極致の

  • ἀληθής > alethis, -ei 真実の、現実の

gA/gO型

gE型

女性

男性

中性

女性

男性

中性

単数

主格

eschata

eschatos

eschaton

alethis

alethis

対格

eschatan

eschaton

eschaton

alethen

alethis

奪格

eschatai

eschatoi

eschatoi

alethei

alethei

複数

主格

eschatai

eschatoi

eschata

alethei

alethia

対格

eschates

eschates

eschata

alethes

alethia

奪格

eschatis

eschatis

eschatis

alethibus

alethibus

冠詞

冠詞は、形容詞と同じ限定詞 (il determinans) の一種であり、 名詞にかかって定性 (定/不定) を示します。 現代英語や現代ロマンス諸語と同様に定冠詞と不定冠詞を有します。 ムルバリア語は、通常、現代英語や現代ロマンス諸語と同程度に冠詞の使用を要求しますが、 使用を控えることで古典的・詩的な印象を醸し出すことも可能です。

冠詞の形は、かかる名詞の性・数・格に一致します。 形容詞に比べると、かなり単純化しています。

定冠詞

定冠詞は特定のものを指します。英語の the に相当します。

女性

男性

中性

単数

主格

la

il

対格

奪格

le

複数

主格

le

li

対格

奪格

li

  • la mela (特定の)りんご

不定冠詞

不定冠詞 un は、不定の一つのものを表します。英語の a に相当します。 数えられる名詞の、1つのときに使います。

女性

男性

中性

単数

主格

una

un

対格

奪格

une

  • una mela (ある1つの)りんご

  • un librus (ある1冊の)本

不定のもので、数えられない名詞や、数えられるが数えずに群、集合体としてまとめて扱うような場合は、 無冠詞かあるいは量を表す名詞を de + 奪格 で修飾する形をとります。

  • un bicarius de vino グラス一杯のワイン (ワインのグラス一杯)

冠詞による名詞化

形容詞に冠詞をつけると、その性質を有するもの/人を表す名詞として使うことができます。

  • Una melam me dones, una magnam. リンゴを一つくれ、大きいのを。

  • La musicam amo. Praecipue la classicam. 音楽が好きだ。特にクラシック。

  • Haec una historia delli miserabilibus. これは哀れな人々のお話。

定冠詞とその直後の語の結合

定冠詞の直後の語頭が母音 u, o, a, e, i のとき、 定冠詞は « l’ » の形に短縮されて直後の語に直接つきます。

  • l’insulae (< le insulae) japonicae 日本列島

  • l’aerus (< il aerus) 大気

h は口語で無音になるため、口語では h を挟んでも結合します。

  • l’historia[VLG] (< la historia) italiana イタリアの歴史

前置詞と定冠詞の縮約

前置詞に組み合わせる名詞が定冠詞を伴うことはよくあるので、 前置詞と定冠詞をひとまとめにした形があります。 これを冠詞と前置詞の縮約形といいます。

il

la

le

li

l'…​

a (ad)

al

alla

alle

alli

al'…​

in

nel

nella

nelle

nelli

nel'…​

de

del

della

delle

delli

del'…​

su

sul

sulla

sulle

sulli

sul'…​

sub

sol

solla

solle

solli

sol'…​

cum

col

colla

colle

colli

col'…​

  • Hic librus delle linguae latinae (< De le linguae latinae) scriptus est. この本はラテン語について書かれている。

代名詞

人称代名詞

三人称は3つの性ごとにあります。 人称代名詞の奪格に所有・所属の用法はなく、代わりに専用の所有形容詞を用います。

一人称

二人称

三人称

女性

男性

中性

単数

主格

ego

tu

ea

is

id

対格

me

te

eam

eum

id

奪格

mei

tui

eae

eo

eo

与格

mihi

tibi

ei

ei

ei

複数

主格

noi

voi

eae

i

ea

対格

nos

vos

eas

eos

ea

奪格

nosti

vosti

eis

eis

eis

与格

nobis

vobis

eis

eis

eis

人称代名詞は独立した与格形 mihi, tibi, ei, nobis, vobis, eis をもちます。 このため人称代名詞では a (ad) + 対格 の形は用いません。

敬称 ustes

二人称の敬称「あなた」を表す ustes があります。 ustes は、実際には対話相手を示すのですが、文法的には三人称の女性名詞として振る舞います。 対象の人物が男性・女性に関わりません。

あなた、あなたがた

単数

主格

ustes

対格

ustedem

奪格

ustede

複数

主格

ustedi

対格

ustedes

奪格

ustedibus

  • Ustes da Siciliae venta est, ego etiam. あなたはシチリアから来たんですね、私もです。

女王陛下とわたくしども

常に語頭を大文字として使う一人称・複数 Noi は « La persona delle majestate reginae » 「女王陛下の人称」 といい、国王などが自身を示す際に使われます。

朕、吾輩

複数

主格

Noi

対格

Nos

奪格

Nosti

与格

Nobis

  • Noi, la nation sumus. 朕は国家なり。

国王の前で noi を使用することははばかられるということから、 謙称「わたくしども」を表す語 malii が生まれました。 malii は me + et alii 「私とその他」 が縮んでできた語であり、 文法的には三人称の名詞として扱います。 与格も a (ad) + 対格 で表します。 形容詞 alius が元になっているため、 noi と異なり、性ごとの形をもちます。 単数形を欠いた、複数形のみの名詞です。

女性

男性

複数

主格

maliae

malii

対格

malias

malios

奪格

maliis

maliis

malii は代名詞ではなく、 あくまでわたしたちという集団を示す一般の名詞なので、 繰り返し示される場合は適切な性・数に一致する三人称の人称代名詞を使います。

  • Malii li medici sunt. Facete un camminum pro eos. 我々は医療隊でございます。 どうか我々のために道を空けてください。

再帰代名詞

再帰代名詞は、英語の -self に相当し、自身を指します。 主格形はありませんが、独立した与格形があります。 一人称、二人称は人称代名詞と同じです。 三人称は人称代名詞とは異なり、単数/複数で同形です。

一人称

二人称

三人称

単数

対格

me

te

se

奪格

mei

tui

sui

与格

mihi

tibi

sibi

複数

対格

nos

vos

se

奪格

nosti

vosti

sui

与格

nobis

vobis

sibi

他動詞の文脈で、主語に据えたものそれ自身を表す再帰代名詞を直接目的語にも据えることで自動詞的な意味合いを出したり、 複数形であれば相互作用を表します。

  • Me levai alle nocte. 夜に起きた。(自分を起こす→起きる)

  • Se cognoscemo in quinque annis. 私たちは知り合って5年になる。(互いに知る→知り合う)

強意代名詞/形容詞

強意代名詞は「〜そのもの」「まさにその〜」といった強調を行う代名詞です。 形容詞も同じ形です。 男性主格が ipse に、中性主格が ipsud に、 中性対格がギリシア語由来の auto, auta になっている点に注意してください。

女性

男性

中性

単数

主格

ipsa

ipse

ipsud

対格

ipsam

ipsum

auto

奪格

ipsae

ipso

ipso

複数

主格

ipsae

ipsi

ipsa

対格

ipsas

ipsos

auta

奪格

ipsis

ipsis

ipsis

  • Hic librus ipse quem in multis annis recircatus habeo. まさにこの本が長年追い求めていたものだ。

強意代名詞/形容詞は単に強調する用法のほかに、 無変化名詞や中性名詞の格・数を明示するためにも使います。

  • A Taiwan ipso una festa d’ACG fuit. 台湾でACGのイベントがあった。

  • Illud tramen ipsud una mercem secretum auto porta. あの列車は秘密の物資を運んでいる。

指示代名詞/形容詞

人やものを指し示す代名詞です。形容詞も同じ形です。 hic, istus これ・この、illus あれ・あの の2種類があります。

ille は、遠いものを示す指示代名詞/形容詞「あれ・あの」です。

女性

男性

中性

単数

主格

illa

ille

illud

対格

illam

illum

illud

奪格

illae

illo

illo

複数

主格

illae

illi

illa

対格

illas

illos

illa

奪格

illis

illis

illis

  • あの男を知っているか? Illum hominem cognoscis?

hic, iste は、近いものを示す指示代名詞/形容詞「これ・この」です。 両者に意味の違いはないので、どちらを使用しても構いません。 hic は形態変化が少なく、手軽に用いられます。 数・格を明示したい場合や ille と対比したい場合は iste を使うとよいです。

女性

男性

中性

(数・格共通)

haec

hic

hoc

女性

男性

中性

単数

主格

ista

iste

istud

対格

istam

istum

istud

奪格

istae

isto

isto

複数

主格

istae

isti

ista

対格

istas

istos

ista

奪格

istis

istis

istis

  • Hic librus difficilis est. この本は難しい。

  • Hoc quis est? これは何?

  • Via hic cammino retorna. この道を通って帰りなさい。

  • Iste librus ante illo difficilior est. この本はあの本より難しい。

疑問代名詞/疑問形容詞

疑問形容詞はA/O型、疑問代名詞はE型です。

何、誰

女性

男性

中性

単数

主格

quis

quid

対格

quem

quid

奪格

que

que

複数

主格

qui

quia

対格

ques

quia

奪格

quibus

quibus

何の

女性

男性

中性

単数

主格

qua

quus

quod

対格

quam

quum

quod

奪格

quae

quo

quo

複数

主格

quae

qui

qua

対格

quas

quos

qua

奪格

quis

quis

quis

  • Quus flos tibi place? どの花が好み?

  • Quis me voca ne. 誰が私を呼んでいるのか。

  • Noi da que venemo ne? Qui sunt ne? A quid vademo ne? 我々はどこから来たのか?何者なのか?どこへ行くのか?

人に関する疑問形容詞(所有形容詞)「誰の〜」を表す語は存在しません。 de + 奪格 で表現します。

  • Hoc librus de que est? これは誰の本だ?

否定代名詞/否定形容詞

否定形容詞はA/O型です。

何の…​もない

女性

男性

中性

単数

主格

nulla

nullus

nullum

対格

nullam

nullum

nullum

奪格

nullae

nullo

nullo

複数

主格

nullae

nulli

nulla

対格

nullas

nullos

nulla

奪格

nullis

nullis

nullis

  • Nullam ideam habeo. 何の考えもございません。

  • Nullum fructum acquirutum habeo. 何の成果も得られませんでした。

否定代名詞はものを表す nihil と人を表す nemo があります。 どちらも数の区別がありません。

何も…​ない

誰も…​ない

主格

nihil

nemo

対格

neminem

奪格

nihilo

nemine

  • Sine aquae nemo vivere non pote. 水なしでは誰も生きられない。

  • Mihi nihil est, sola la vanitas. 私には何もない、ただ空虚だけ。

所有形容詞

人称代名詞に対する所有・所属「〜の」を表す形容詞です。 三人称は所有者側の性・数に関わらず共通の1パターンです。

私の

あなたの

女性

男性

中性

女性

男性

中性

単数

主格

mia

mius

mium

tua

tuus

tuum

対格

miam

mium

mium

tuam

tuum

tuum

奪格

miae

mio

mio

tuae

tuo

tuo

複数

主格

miae

mii

mia

tuae

tui

tua

対格

mias

mios

mia

tuas

tuos

tua

奪格

miis

miis

miis

tuis

tuis

tuis

私たちの

あなたたちの

女性

男性

中性

女性

男性

中性

単数

主格

nostra

nostrus

nostrum

vostra

vostrus

vostrum

対格

nostram

nostrum

nostrum

vostram

vostrum

vostrum

奪格

nostrae

nostro

nostro

vostrae

vostro

vostro

複数

主格

nostrae

nostri

nostra

vostrae

vostri

vostra

対格

nostras

nostros

nostra

vostras

vostros

vostra

奪格

nostris

nostris

nostris

vostris

vostris

vostris

彼/彼女/それ/彼ら/彼女ら/それらの

女性

男性

中性

単数

主格

esua

esuus

esuum

対格

esuam

esuum

esuum

奪格

esuae

esuo

esuo

複数

主格

esuae

esui

esua

対格

esuas

esuos

esua

奪格

esuis

esuis

esuis

  • Miku ea mia filia est. ミクは私の娘です。

  • Il mium, il mium est. Et il tuum, il mium est. 俺のものは俺のもの。お前のものも俺のもの。

数詞と序数詞

数詞は単なる数を、序数詞は順序を表します。 形容詞的に用いる場合において un 以外の数詞は無変化です。 un は不定冠詞、序数詞はA/O型形容詞の変化をします。

数詞

序数詞(〜番目の)

0

zero

zeresimus

1

un

primus

2

due

secundus

3

tre

tremus

4

quattuor

quattremus

5

quinque

quinquemus

6

sex

sexemus

7

septem

septemus

8

octo

octemus

9

novem

novemus

10

decem

decemus

100

centum

centemus

11

deca-un

deca-primus

101

cento-deca-un

cento-deca-primus

1,000

mille

millemus

  • Quattuor minuti et tre-deca-tre secundi 4分33秒

序数詞はしばしば 1mus, n° 1, #1 のように省略表記します。

  • Symphonia n° 1 « Titanus » 交響曲第一番「巨人」

動詞

動詞 (il verbum) の機能は大きく叙法 (il modus) というカテゴリで分類され、 直説法、接続法、条件法、命令法、不定法 があります。 このうち不定法は動詞を名詞的、形容詞的に応用するものになります。

動詞も名詞や形容詞と同じく語尾の変化パターンがあります。 名詞の形態変化を「屈折 (l’inflection)」というのに対し、 動詞の形態変化は「活用 (la conjugation)」といいます。

動詞の基本形と活用パターン

活用は、数の上では非常に多いですが、きわめて規則的です。 完了受動分詞以外の活用は、不定法・不定詞の形と直説法・現在・単数・一人称の形により以下の6パターンに分けられます。

活用パターン

I

II

II'

III

III'

IV

不定法・不定詞

-àre

-ére

-ere

-íre

直接法・現在・単数・一人称

-o

-eo

-o

-io

-o

-io

完了受動分詞の基本形は、おおまかな傾向はある (-tus, -sus が多い) もののはっきりした対応はないため、 動詞ごとに一つ一つ覚える必要があります。

以上から、辞書において、動詞は3つの要素 (1) 不定法・不定詞, (2) 直説法・現在・単数・一人称, (3) 完了受動分詞・男性・単数 が見出しに掲載されます。

  • stàre 【v -o stàtus】 ある

  • habére 【v -eo hàbitus】 持つ

  • fluére 【v -o flùxus】 流す

  • fàcere 【v -io fàctus】 作る

  • dícere 【v -o díctus】 言う

  • veníre 【v -io véntus】 来る

基本動詞

英語のbe動詞に相当する、最も基本的な動詞は esse です。 名詞や形容詞を接続して同格や形容を示したり、存在を示したりします。

  • Ego non homo, una pupa sum. 私は人間ではなく、人形だ。

  • Il mar largum est. 海は広い。

  • Roma in Italiae est. ローマはイタリアにある。

esse に対し、一時的な状態を表す stare があります。

  • Is nunc mortuamente fessus sta. こいつは今死ぬほど疲れてるんだ。

  • A haec septimanae mia sororcula in Naple sta. 妹は今週ナポリにいます。

直説法

直説法 (il modus indicativus) はシンプルな言い切りであり、 文の述語をなす動詞としての基本です。 動詞は主語の数と人称ごとの形を持ちます。 形により人称がわかるため、しばしば主語は省略されます。

  • (Ego) sto. 私はいる。

  • (Tu) stas. あなたはいる。

  • (Is) sta. 彼はいる。

  • (Noi) stamo. 私たちはいる。

  • (Voi) state. あなたたちはいる。

  • (Ei) stano. 彼らはいる。

上記の例は現在形です。 他にも過去のことを言ったり未来のことを言ったりする形があります。

直説法現在

単数

複数

一人称

二人称

三人称

一人称

二人称

三人称

ésse ある

sùm, sòi[VLG]

és

ést, é[VLG]

sùmus, sòmo[VLG]

éstis, séte[VLG]

sùnt, sòno[VLG]

stàre ある

stò

stàs

stà

stàmo

stàte

stàno

habére持つ

hàbeo, hài[VLG]

hàbes, hàs[VLG]

hàbe, hà[VLG]

habémo, hàmo[VLG]

habéte, hàte[VLG]

hàbeno, hàno[VLG]

fluére流す

flùo

flùis

flùe

fluémo

fluéte

flùeno

fàcere 作る

fàcio

fàcis

fàce

facémo

facéte

fàceno

dícere 言う

díco

dícis

díce

dicémo

dicéte

díceno

veníre 来る

vénio

vénis

véne

venémo

venéte

véneno

直説法現在は、疑いない事実や当然のことを断言するものです。

  • Sulla terrae flori molliter rideno, nel caelo avi liberiter cantano. 大地には花々が優しく笑い、空には鳥たちが自由に歌う。

複数の一人称と二人称は長くなるため、アクセントが語尾に移ります。 ただし stare のようにアクセントの移動する余地のない場合は移動しません。 複数の三人称も同じくらい長いですがアクセントは語幹に残りますから注意してください。

  • hàbeo, hàbes, hàbe, habémo, habéte, hàbeno

現在時制は、動作がまさに進行中であるかどうかは区別しません。 特に動作の進行を強調する場合は、 動名詞の奪格 + stare で言うことができます。

  • A Romam andando sto. ローマへ向かっているところです。

直説法 « 現在 » と言いますが、その本質は話者にとって確かである、当然であるという認識です。 必ずしも時間的に現在に限らず、時間に縛られない恒常的な論理や、未来であっても確定度の高い予定は現在形で言います。

  • La Terra per il Sole torna. 地球は太陽の周りを回る。

  • Cras a Romam ando. 明日はローマに行きます。

直説法単純過去

単数

複数

一人称

二人称

三人称

一人称

二人称

三人称

ésse ある

fùi

fùis

fùit

fuémo

fuéte

fuéno

stàre ある

stài

stàis

stàit

stiémo

stiéte

stiéno

habére 持つ

habéi

habéis

habéit

habiémo

habiéte

habiéno

fluére 流す

fluéi

fluéis

fluéit

fluiémo

fluiéte

fluiéno

fàcere 作る

facéi

facéis

facéit

faciémo

faciéte

faciéno

dícere 言う

dicéi

dicéis

dicéit

diciémo

diciéte

diciéno

veníre 来る

venéi

venéis

venéit

veniémo

veniéte

veniéno

単純過去は、過去のできごとを伝えます。 ずっと続いていたことなのか、最終的にどうなったとか、細かい情報は伝えません。 過去にある一つのできごとがあったのだとだけ言う、単純な過去です。

  • Heri a Romae magnus pluvius fuit. 昨日、ローマにはすごい雨があった。

語尾は現在形と似ていますが、複数・三人称のアクセントは現在形と違って語尾に移ります。

  • habéi, habéi, habéit, habiémo, habiéte, habiéno

直説法継続過去

単数

複数

一人称

二人称

三人称

一人称

二人称

三人称

ésse ある

ébo

ébas

éba

ebàmo

ebàte

ébano

stàre ある

stàbo

stàbas

stàba

stabàmo

stabàte

stàbano

habére 持つ

habébo

habébas

habéba

habebàmo

habebàte

habébano

fluére 流す

fluébo

fluébas

fluéba

fluebàmo

fluebàte

fluébano

fàcere 作る

facébo

facébas

facéba

facebàmo

facebàte

facébano

dícere 言う

dicébo

dicébas

dicéba

dicebàmo

dicebàte

dicébano

veníre 来る

venébo

venébas

venéba

venebàmo

venebàte

venébano

継続過去は、ぼんやりとした幅のある時間の中で状態、動作が淡々と続くさまを表現します。 継続のイメージは、合わせ鏡です。 前を見ても後ろを見ても同じような状態が続いている、同じような動作が繰り返されている、そんな様子を表現します。

  • Heri il pluvius eba. 昨日はずっと雨だった。

  • In miae adolescentiae, omne die a scholam andabo. 子どもの頃は、毎日学校へ通っていました。

直説法単純未来

単数

複数

一人称

二人称

三人称

一人称

二人称

三人称

ésse ある

éro

éras

éra

eràmo

eràte

érano

stàre ある

stàro

stàras

stàra

staràmo

staràte

stàrano

habére 持つ

habéro

habéras

habéra

haberàmo

haberàte

habérano

fluére 流す

fluéro

fluéras

fluéra

flueràmo

flueràte

fluérano

fàcere 作る

facéro

facéras

facéra

faceràmo

faceràte

facérano

dícere 言う

dicéro

dicéras

dicéra

diceràmo

diceràte

dicérano

veníre 来る

venéro

venéras

venéra

veneràmo

veneràte

venérano

単純未来は、不確実なこと、推測、予想を伝えます。

  • Nub nigra il caelum comple. Nelle nocte il pluvius era. 黒い雲が空を覆っている。今夜は雨だろう。

単純未来の本質は不確実性の含み「〜だろう」であり、 時間的に現在のことでも推測や予想は単純未来で言います。

  • Equi se videre promissiemo sed is non venutus est. Nelle nocte valde bibiti habemo dunque quasi dormira. ここで会おうと約束したが、彼は来ていない。 夜にたくさん飲んだので、おおかた寝ているのだろう。

直説法現在完了

完了とは、ある時点の前にあったできごとの結果として、ある時点でどうなったか、を伝えます。 過去にあったできごとに対する現在の結果を述べるには、現在完了を使います。

  • <完了受動分詞> + <助動詞・直接法現在>

現代ロマンス諸語と同様に、ムルバリア語は完了受動分詞と助動詞を組み合わせて完了を表現します。 他動詞の文脈では直接目的語にかかる完了受動分詞と主語に対応する助動詞 habere を組み合わせます。 自動詞の文脈では主語にかかる完了受動分詞と主語に対応する助動詞 esse を組み合わせます。

  • Il magnum laborem completum habemo. Bibemo. 大仕事を終えましたね。飲みましょうか。

  • Mia sororcula mihi venuta est. Ea mihi unquem dicendum habi quem video. 妹が私のところへ来た。何か言いたそうに見える。

  • Prokof’ev septem symphonias restatas habe. プロコフィエフは7つの交響曲を遺した。

古風な文脈では、単純過去形が現在完了の意味を表す場合があります。 これは単純過去形が古典ラテン語の現在完了形に由来するからです。

  • In principio creait[ARC] Deus caelum et terram. まず初めに神は天と地を創った。

直説法前過去

  • <完了受動分詞> + <助動詞・直接法単純過去>

直説法前過去は、単純過去に対応する完了です。 過去の時点で完了していたことを伝え、結果の様子が単純過去のニュアンスをもちます。

  • Via mei nocito, la regula immutata fuit. 私が怪我をすると、規則が改められた。

直説法大過去

  • <完了受動分詞> + <助動詞・直接法継続過去>

直説法前過去は、継続過去に対応する完了です。 過去の時点で完了していたことを伝え、結果の様子が継続過去のニュアンスをもちます。

  • Quando retornai alla miam casam, mia sororcula dormita eba. 帰宅する頃には、妹はもう寝ていた。

直説法前未来

  • <完了受動分詞> + <助動詞・直接法単純未来>

直説法前過去は、単純未来に対応する完了です。 未来の時点で完了しているであろうことを伝えます。

  • Via haec potione bibendo, cras bene te restatus haberas. この薬を飲めば、明日には良くなることでしょう。

接続法

接続法 (il modus subjunctivus) は、話者が素朴に思い浮かべる主観的な想像、考えを直説法のように「こうだ」「こうらしい」などと言い切らずに「そのようなこと」までで留めるものです。 したがって、接続法は元来従属的であり、最終的には直説法に接続 (subjungere)、つまり「そのようなこと→がどうだ」まで言ってようやく文が完成するので、 接続法の名があります。

基本的には、実際にどうなのかはさておき、話者の主観的な推測、疑い、願望などの内容を接続法で言い、 そのようなことを私は考えているとか、疑っているとか、願っているとかの主節を直説法で言う、という構成をとります。 文と文を接続するので、関係代名詞を使います。 ある意味慎重で回りくどい言い方なので、暗に「あくまで私の感想ですが…」「個人的には…」「知らんけど…」のような態度をチラつかせます。

  • Is ad esuo corde il malum habi quem dubito. 彼はもしや心臓を悪くしているのではないかと疑っている。

  • Voi cum salvo retornete quem optamo. どうかあなた方が無事に帰ることを願っています。

しかしながら従属節、すなわち接続法で言う内容だけでおおむね意図が伝わるため、 実際には接続先の主節、すなわち直説法で言う内容は省略してしまうことが多いです。 ぱっと見では接続法だけで文が完結しているように見えます。

  • Is ad esuo corde il malum habi. 彼はもしや心臓を悪くしているのではないか。

  • Voi cum salvo retornete. どうかあなた方が無事に帰りますように。

接続法現在

単数

複数

一人称

二人称

三人称

一人称

二人称

三人称

ésse ある

sím

sís

sít

símus

sítis

sínt

stàre ある

sté

stés

stí

stémo

stéte

sténo

habére 持つ

hàbea

hàbeas

hàbi

habeàmo

habeàte

hàbeano

fluére 流す

flùea

flùeas

flùi

flueàmo

flueàte

flùeano

fàcere 作る

fàcia

fàcias

fàci

faciémo

faciéte

fàcieno

dícere 言う

díca

dícas

díci

dicàmo

dicàte

dícano

veníre 来る

vénia

vénias

véni

veniàmo

veniàte

véniano

接続法現在は、現在においてその時のことをいう場合、過去において相対的に未来のことをいう場合に使います。

  • Ea a comperationem vadi quem credo. 彼女は買い物に出かけているのではないかと思う。

  • Ea a comperationem vadi quem credai. 彼女は買い物に出かけるのではないかと思っていた。

現在において未来のことをいう場合は、直説法未来が推測のニュアンスを含むため、これを使います。 接続法未来はありません。

  • Ea a comperationem vadera quem credo. 彼女は買い物に出かけるのではないかと思う。

接続法継続過去

単数

複数

一人称

二人称

三人称

一人称

二人称

三人称

ésse ある

éssim

éssis

éssit

essímus

essístis

éssint

stàre ある

stàsse

stàsses

stàssi

stassémo

stasséte

stàsseno

habére 持つ

habésse

habésses

habéssi

habessémo

habesséte

habésseno

fluére 流す

fluésse

fluésses

fluéssi

fluessémo

fluesséte

fluésseno

fàcere 作る

facésse

facésses

facéssi

facessémo

facesséte

facésseno

dícere 言う

dicésse

dicésses

dicéssi

dicessémo

dicesséte

dicésseno

veníre 来る

venísse

venísses

veníssi

venissémo

venisséte

venísseno

接続法継続過去は、過去においてその時のことをいう場合に使います。

  • Ea a comperationem vadessi quem credai. 彼女は買い物に出かけていたのではないかと思っていた。

接続法過去

  • <完了受動分詞> + <助動詞・接続法現在>

接続法過去は、現在において過去のことをいう場合に使います。

  • Ea a comperationem vasa habi quem credai. 彼女はすでに買い物を済ませているのではないかと思う。

接続法大過去

  • <完了受動分詞> + <助動詞・接続法継続過去>

接続法第過去は、過去において相対的に更に過去のことを言う場合に使います。

  • Ea a comperationem vasa habessi quem credai. 彼女はすでに買い物を済ませていたのではないかと思っていた。

条件法

条件法 (il modus conditionalis) は、ある仮定に対する帰結を述べるものです。 単に条件と帰結の論理的関係を述べるだけなら直説法で言いますが、 条件法は現実の状況に照らして、それに対立するような条件〜帰結をあえて提示します。

名前のせいで紛らわしいですが、条件法を適用するのは条件節「こうだったら」の方ではなく、帰結節「こうなのだが」の方です。

条件法現在

単数

複数

一人称

二人称

三人称

一人称

二人称

三人称

ésse ある

eréi

eréis

eréit

eriémo

eriéte

eriéno

stàre ある

staréi

staréis

staréit

stariémo

stariéte

stariéno

habére 持つ

haberéi

haberéis

haberéit

haberiémo

haberiéte

haberiéno

fluére 流す

flueréi

flueréis

flueréit

flueriémo

flueriéte

flueriéno

fàcere 作る

faceréi

faceréis

faceréit

faceriémo

faceriéte

faceriéno

dícere 言う

diceréi

diceréis

diceréit

diceriémo

diceriéte

diceriéno

veníre 来る

veneréi

veneréis

veneréit

veneriémo

veneriéte

veneriéno

条件法現在は、結果はまだ決まったわけではないものの、 おおよそ予想される結果に対立する条件と帰結「こうだったら→こうなのだが」を述べます。

  • Sei un pluvius est, li flori se aperiete. ひと雨降ってくれれば、花が開くのだが。 (もしかしたら降ってくれるかもしれないが、現実的には降ってくれそうにない。)

条件法現在の形は、直説法単純未来と直説法継続過去を融合させたようです。

  • 直説法単純未来 staro, habero, dicero, venero

  • 直説法単純過去 stai, habei, dicei, venei

  • 条件法現在 starei, haberei, dicerei, venerei

条件法過去

  • <完了受動分詞> + <助動詞・条件法現在>

すでに帰結が確定してしまった後で、後出しジャンケンのようにそうならなかった場合のifを言う場合は、条件法過去「〜だったろうにな」を使います。 条件節も今となっては「無い前提」を言うことになるので、現在完了「〜だったとしたら」を使います。

  • Sei un pluvius status est, li flori se aperiti haberiete. ひと雨降ってくれていたら、花は開いたのだが。 (結局降ってくれることはなく、花は開かないまま枯れてしまった。)

命令法

命令法 (il modus imperativus) は、命令や呼びかけを行うのに使います。

単数

複数

一人称

二人称

三人称

一人称

二人称

三人称

ésse ある

-

és

-

-

éste

-

stàre ある

-

stà

-

-

stàte

-

habére 持つ

-

hàbe

-

-

habéte

-

fluére 流す

-

flùi

-

-

fluéte

-

fàcere 作る

-

fàci

-

-

facéte

-

dícere 言う

-

díci

-

-

dicéte

-

veníre 来る

-

véni

-

-

venéte

-

命令法はその性質上、現在形・二人称のみです。 単数は直説法現在の -as, -es, -is から s を取った -a, -e, -i で、 複数は直説法現在と同形です(ただし基本動詞 és, éste を除く)。

  • Disce, o discede. 学べ、さもなくば去れ。

  • NON ENTRA 立入禁止(←入るな)

  • Salve. こんにちは。(←健康でありなさい。)

  • Vale. さようなら。(←元気でありなさい。)

不定法

不定法 (il modus infinitus) は、 直説法や接続法、条件法のように主語の数・人称で活用されて文の述語となる定形 (la forma finita) に対して、 述語とはならずに形容詞的、名詞的、副詞的にふるまう、動詞の派生的、副次的な機能です。

不定詞

不定詞 (il infinitivus) は、 単に動詞の意味「〜するということ」をそのまま表すだけの語です。 動詞1語に1つの形で、その語尾4種 -àre, -ére, -ere, -íre がそのまま定形の活用パターンの分類となるため、 動詞を辞書的に記載する際の基本形となっています。

不定詞はそのまま名詞的に使ったり、 possere 〜できる, volere 〜したい などの準助動詞に組み合わせて使います。

  • Il cogitare, il vivere est. 考えることは、生きることなのである。

  • Ego plure laborare posso, laborare volo. 自分はまだ働けます、働きたいです。

ただし、前置詞を組み合わせるような使い方はできません。そのような機能は動名詞が担います。

また、不定詞の節は、目的語を連れることができません。 しかし、主語は連れることができます。 直感に反するかもしれませんが、この不定詞の意味上の主語は対格で表します(対格不定法)。

  • Te certare la gentem la speem done. あなたが戦っていることは、人々に勇気を与えている。

  • Alle statione mium magistrem camminare videi. 駅で先生が歩いているのを見ました。

能動分詞

能動分詞 (il participium praesentis) は、不定詞の末尾 -re を -ns に交換することで作ります。 E型の形容詞的な語になります。

stàre ある

女性

男性

中性

単数

主格

stans

stans

対格

stantem

stans

奪格

stante

stante

複数

主格

stanti

stantia

対格

stantes

stantia

奪格

stantibus

stantibus

能動分詞は「〜する…」のように、能動的な意味で名詞を修飾します。

  • Alle statione mium magistrem camminantem videi. 駅で歩いている先生を見ました。

能動分詞は基本的にそれ1語だけで使います。 目的語やその他状況補語を連れることはまれで、 そのような文を組みたい場合は動形容詞を使うか、 関係詞を使います。

冠詞をつけて名詞化することで「…するもの、人」を表します。 冠詞を伴うことなく独立した名詞の地位を確立したものも多いです。

  • Nelle camerae un lucentem videi. 部屋の中で光るものを見た。

  • cantans 歌手

完了受動分詞

完了受動分詞 (il participium perfectum) は、 はっきりした規則がありませんが、おおむね -tus, -sus の語尾を持ちます。 A/O型の形容詞的な語になります。

stàre ある

女性

男性

中性

単数

主格

stata

status

statum

対格

statam

statum

statum

奪格

statae

stato

stato

複数

主格

statae

stati

stata

対格

statas

statos

stata

奪格

statis

statis

statis

完了受動分詞は「〜された…」のように、受動的・完了的な意味で名詞を修飾します。

  • Il cottus capitus via ancillae in esue ore un piscem tenei. メイドに捕らえられた猫は魚を咥えていた。

完了受動分詞も現在分詞と同様、名詞化して「…されたもの、人」を表します。

  • Il vocatus equi veni. 呼ばれた者はここに来なさい。

また、完了受動分詞は助動詞と組み合わせて完了時制を構成します。

  • A miam sororculam una epistolam scriptam habeo. 妹に手紙を書いた。

動名詞

動名詞 (il gerundium) は、動詞の不定詞の末尾 -re を -ndum に交換することで作ります。 On型の中性名詞的な語になります。

stàre ある

中性

単数

主格

standum

対格

standum

奪格

stando

複数

主格

standa

対格

standa

奪格

standis

そのままで中性・単数の名詞として扱います。 定冠詞を伴うことも多いです。 主語(主格)、直接目的語(前置詞を伴わない対格)としての用法では、不定詞と同じように使うことができます。

  • Il cogitandum, il vivendum est. 考えることは、生きることなのである。

動名詞は不定詞と違い、前置詞を伴うことできます。

  • Al pingendum mium virem totalem dono. お絵描きに全力を尽くします。

  • Il jucundum de viverendo. 生きることの喜び。

per, via, cum と組み合わせると、理由や付帯状況を表します。

  • Per currendo fatigatum sum. 走って疲れた。

  • Non cammina cum videndo la phonam. スマホを見ながら歩かないで。

stare, andare, vadere, venire のような基本動詞に動名詞の奪格を組み合わせることで、 動作や事態が進行、漸進しているさまを表します。

  • A Romam andando sto. ローマへ向かっているところです。

  • Via le potione is valendo vade. 薬のおかげで彼は快方に向かっていっている。

  • Ecce, Tu vires aqcuirendo venis ne! どうだ、力がみなぎってきただろう!

未完了受動分詞

未完了受動分詞 (il gerundivus) は、動詞の不定詞の末尾 -re を -ndus に交換することで作ります。 A/O型の形容詞的な語になります。

stàre ある

女性

男性

中性

単数

主格

standa

standus

standum

対格

standam

standum

standum

奪格

standae

stando

stando

複数

主格

standae

standi

standa

対格

standas

standos

standa

奪格

standis

standis

standis

未完了受動分詞は他動詞の文脈でのみ用い、直接目的語にかかって 「…されゆく…」「…されることになっている…」「…されるべき…」の意味を表します。 しかしながら、結果的には文中の直接目的語と未完了受動分詞の役割が逆転した論理構成として解釈されます。

  • Via il pisce edendo, la sapientiam acquire. 魚を食べることによって(←食べられゆく魚によって)、知恵を得る。

未完了受動分詞を使った表現は論理的に飛躍している面があるため、 動名詞で言い換えることも多いです。

  • Via edendo la piscem, la sapientiam acquire. 魚を食べることによって、知恵を得る。

受動態

受動態は、他動詞の文脈における直接目的語が主語に回った視点になります。 完了受動分詞 + esse または stare で作ります。 完了受動分詞は主語に合わせて屈折します。

  • Li homini necati, le feminae fututae sunt. 男どもは殺され、女どもは犯される。

  • Via le iratae sororculae battutus status sum. 怒った妹に叩かれた。

前置詞

前置詞は名詞の対格または奪格に組み合わせて、さまざまに意味を派生します。

a (ad)

対格、奪格に組み合わせて、地点、時点を表します。 奪格はその地点、時点にあること「〜で」「〜において」、 対格はその地点、時点へ向かうこと「〜へ」を表します。

  • A Romae sto. ローマにいる。

  • A Romam ando. ローマへ行く。

母音の前では ad になります。 h は口語で無音になるため、口語では h を挟んでも ad になります。

  • Ad Italiae vivo. イタリアに住んでいます。

  • Ad[VLG] haec stratae eam videi. この通りで彼女を見かけた。

a は定冠詞との縮約形を持ちます。

  • Alle (< a + le) statione miam sororculam maneo. 駅で妹を待っている。

a は、対格に組み合わせて与格として機能します。

  • A miam sororculam un florem donetum habeo. 妹に花をあげた。

apud

対格、奪格に組み合わせて「〜のもと(家、施設、環境など)に/で」の意味を表します。

  • Vade apud medicum. 医者に行きなさい。

  • Tre panes comparatos habeo apud haec paneteriae. そこのパン屋さんでパンを3つ買った。

contra, ante

対格、奪格に組み合わせて、向かい合っていることを表します。

  • Contra il stationem me nave. 駅の前まで私を案内してください。

  • Ante le statione un homo clame. 駅の前で一人の男が叫んでいる。

cum

奪格に組み合わせて、手段を表します。

  • Li homini cum igne progrediti sunt. 人類は火を使って進化してきた。

  • Cum birotae veniti sumus. 自転車を使って来た。

da

奪格に組み合わせて、由来「〜から」「〜でできた」を表します。

  • Da Romae venutus sum. ローマから来た。

  • casa da albore 木造住宅

de

奪格に組み合わせて、所属・所有を表します。

  • il territorium de Romae ローマの領地

また、話題「〜について」を表します。

  • « De Linguae Latinae » via Varro ワッロー著「ラテン語について」

in

対格、奪格に組み合わせて、ある範囲の中、内部、内側を表します。

  • Babuskae in Osakae semper in esue pocette candes portano. 大阪のオバチャンは常にポケットの中にキャンディを持っている。

in は定冠詞との縮約形を持ちます。

  • Li germanici nel (< in il) territorium de Romae entrano. ゲルマン族がローマ領内に入った。

pro

対格に組み合わせて目的「〜のために」「〜に向かって」を表します。

  • Pavana pro una infantam defunctam 亡き王女のためのパヴァーヌ

  • La sonata pro un pianofortem et due violinos 一台のピアノと二台のヴァイオリンのためのソナタ

  • il trenum rapidum pro Neo-Sandam via le lineae Occidente-Oriente 東西線経由快速新三田行き

per, via

奪格に組み合わせて経由「〜を通って」「〜を通じて」を表します。

  • Il Heris via Belgis et Bataviae, in Gallicam entrait. ドイツ国防陸軍 « Heer » はベルギーとオランダを通ってフランスへ入った。

  • Via un libro comico, il amorem intra filiis cognoscetum habeo. ある一冊の漫画から、女の子同士の恋愛を知りました。

転じて、受け身の文脈における動作主「〜によって」を表します。

  • Via une filiae, un urbs deletum statum est. 一人の少女によって一つの都市が滅ぼされた。

per は、一定間隔の分割「〜ごとに」「〜毎に」を表します。

  • tre dii liberi per une septimanae 週休三日

  • La ration battanda a 52 per centum arrivata est. 打率は52%に達した。

sine

奪格に組み合わせて、不所持「〜なしで」を表します。

  • Sine aquae nemo vivere non pote. 水なしでは誰も生きられない。

sub

対格、奪格に組み合わせて、下方「〜の下へ/に」を表します。

  • Ecce il motus de terrae! Entra sub una tabulam! 地震だ!テーブルの下に入って!

  • In haec nocte, sub luce delle lunae te maneo. 今宵、月の光の下であなたを待ちます。

sub は定冠詞との縮約形を持ちます。

  • Hic navis nigrus cum magno sono sol marem se celatum habeo. その黒い船は轟音とともに海の下へ姿を消した。

基本動詞 stare に組み合わせて、そのような状況下にあることを表します。 特に、完了受動分詞をとることで受け身的な進行相を表現することができます。

  • Parisi via Germaniae sub dominatis stano. パリはドイツの支配下にある。

  • Jokohama station in centum annis sub constructae sta. 横浜駅は100年間工事中だ。

su

対格、奪格に組み合わせて、上方「〜の上へ/に」を表します。

  • Il caprimulgus su caelo lucendus est. よだかは空の上で輝き続けています。

  • Haec petram porta su illum montem. この岩をあの山の上へ運ぶのだ。

su は定冠詞との縮約形を持ちます。

  • li problemae sulle (< su + le) communicatione コミュニケーション上の諸問題

intra, tra

対格、奪格に組み合わせて、間「〜の間へ/に」を表します。

  • Non mette un hominem intra due filias. 二人の少女の間に男を入れるな。

  • Hic librus comicus intra laboratoribus curre. この漫画が労働者の間で流行っている。

prae

対格、奪格に組み合わせて、前方「〜の前へ/に」を表します。

  • Peae il prandio, te lava a manos. 食事の前に手を洗いなさい。

post

対格、奪格に組み合わせて、後方「〜の後へ/に」を表します。

  • Post il prandio, te poli a dentes. 食事の後に歯を磨きなさい。

secundo

奪格に組み合わせて、「〜によると」「〜の意見では」を表します。

  • Secundo me, bona idea sit. 私としては、いい考えだと思うんだけどな。

  • Secundo aliquale gente, il Sol per la Terrae torna. ある種の人々によれば、太陽は地球の周りを回る。

usque

対格に組み合わせて、限界「〜まで」を表します。

  • Hic ludum usque la matutam jocabo. このゲームを朝までしてました。

  • Usque il terminum delle Terrae te sequo. 地の果てまであなたについてゆきます。

副詞

副詞は動詞・形容詞、あるいは他の副詞・文そのものを修飾します。 前置詞句や慣用的なフレーズなども副詞的な要素といえるため挙げればキリがありませんが、 形容詞から副詞への規則的な派生パターンがあります。

A/O型形容詞からは、その女性・単数・主格に mente をつけて副詞を派生します。

  • certus 確かな > certamente 確かに (certa + mente)

  • rarus まれな > raramente まれに (rara + mente)

E型形容詞からは、その語幹に iter をつけて副詞を派生します。

  • celeris 早い > celeriter 早く (celer- + iter)

  • facilis 簡単な > faciliter 簡単に (facil- + iter)

構文と表現

主題と語順

主題は、その文がこれから何について話そうとしているかの前提情報です。 日本語では助詞「…は」を用いて主題を示しますが、 ムルバリア語は語順によって主題を示し、文頭の要素が主題となります。

  • Sul tabulae un librus est. 机には本がある。

  • Il librus su una tabulae est. 本は机にある。

定冠詞は既出の情報を示すものであるため、本質的に主題に付きやすく、 したがって文頭に出やすいという傾向があります。

述語は通常、文の末尾に置きます。 したがって、ムルバリア語の標準的な語順は SOV ないし OSV といえます。 S, O のどちらを先に置くかは主題のとり方によります。 なお命令法では述語を語頭に回すことが普通です。

  • La filia un cottum capitum habe. その少女は猫を捕まえた。

  • Il cottum una filia capitum habe. その猫は少女が捕まえた。

  • Capi la cottum! その猫を捕まえろ!

関係詞

関係詞は、文(主文)の中の要素(先行詞)を更に説明する文(副文)を紐づけるものです。 関係代名詞 quus, -o は疑問形容詞と同じ形をとります。

  • La filiam qua semper cum esuo cane ad haec stradae cammina, hodie non video. いつも犬を連れてこの道を歩いている女の子を、今日は見ていない。

    • 主文 : La filim hodie non video. 女の子を、今日は見ていない。

    • 副文 : La filia (→ qua) semper cum esuo cane ad haec stradae cammina. 女の子はいつも犬を連れてこの道を歩いている。

  • La navis quam constructa habiemo per decem annis in une nocte perdita est. 我々が十年かけて作った船は一夜のうちに失われた。

    • 主文 : La navis in une nocte perdita est. 船は一夜のうちに失われた。

    • 副文 : La navem (→ quam) constructa habiemo per decem annis. 船は我々が十年かけて作った。

  • Al situm de que heri me diceis visitaro. 昨日きみが話してくれた場所に行ってみようと思う。

    • 主文 : Al situm visitaro. (その)場所に行ってみようと思う。

    • 副文 : Heri del sito (→ de que) me diceis. 昨日きみは(その)場所について私に話した。

先行詞は省略されることも多いです。

  • (Is) Quus vincit equi est. 勝った人がここにいる。

時や場所を表す疑問副詞に対応する関係副詞もあります。

  • Quando hoc tu vides, dal mundo ja vasus ero. あなたがこれを見る時、私はもうこの世から去っているだろう。

  • Ubi la gens est, la moneta est. 人のいるところに金はある。

否定

否定詞 non は、直後の語を否定します。

  • Is non sapiens est. (= Is sapiens non est.) 彼は間抜けだ。

  • Is valde non sapiens est. 彼はかなりの間抜けだ。 (sapiens を否定、それを valde で強調)

  • Is non valde sapiens est. 彼はとても賢いというわけではない。 (valde を否定)

否定代名詞や否定形容詞はそれ自体に否定の意味を含むため、否定詞を使いません。

  • Nullam ideam habeo. 何の考えもございません。

  • Nemo eam videit. 誰も彼女を見ていない。

  • In illae camerae nihil tu visus habes. Bene? あの部屋できみは何も見なかった。いいね?

疑問

問いたい要素を文末に置いて上がり調子で言うことで、疑問になります。 上がり調子は疑問符 « ? » で表記します。

  • Heri a Romae vinum valde bibeis? 昨日ローマでワインを大量に飲みましたか?

  • Heri a Romae valde bibeis vinum? 昨日ローマで大量に飲んだのはワインですか?

  • A Romae vinum valde bibeis heri? ローマでワインを大量に飲んだのは昨日ですか?

  • Heri vinum valde bibeis a Romae? 昨日ワインを大量に飲んだのはローマでですか?

  • Heri a Romae vinum bibeis valde? 昨日ローマでワインを飲んだのは大量にですか?

肯定の応答は si、否定の応答は non といいます。

  • La magistram amas? 先生のこと好き? ― Si! うん!

  • Tu factum habes ne? お前がやったんだろ? ― Non. Ego non factum habeo. いいえ。私はやっていません。

具体的な内容を問うには疑問代名詞、疑問形容詞、疑問副詞を用います。

  • Heri a Romae valde bibeis quem? 昨日ローマで何を大量に飲みましたか?

  • A Romae vinum valde bibeis quando? いつローマでワインを大量に飲みましたか?

  • Heri vinum valde bibeis ubi? 昨日どこでワインを大量に飲みましたか?

  • Heri a Romae vinum bibeis quanto? 昨日ローマでワインをどれほど飲みましたか?

述語そのものを問うような疑問動詞なるものはありません。 普遍的な動作を表す動詞 facere, agere を使用し、疑問代名詞や疑問副詞を用いて « facere quem »「何を・する」, « agere quomodo » 「どのように・する」 のように言います。

  • Alora tu faceis quem? それできみはどうしたんだ?

  • Un slimus ante vos est. Agete quomodo? スライムが現れた。どうする?

疑問助詞 ne

疑問助詞 « ne » 「…か」は、問いたい要素の直後につけて、問いたい要素であることを明示します。 ne をつければ、問いたい要素を文末に移動する必要はありません。

  • Heri a Romae vinum valde bibeis ne? 昨日ローマでワインを大量に飲みましたか?

  • Heri a Romae vinum ne valde bibeis? 昨日ローマで大量に飲んだのはワインですか?

  • Heri ne a Romae vinum valde bibeis? ローマでワインを大量に飲んだのは昨日ですか?

  • Heri a Romae ne vinum valde bibeis? 昨日ワインを大量に飲んだのはローマでですか?

  • Heri a Romae vinum valde ne bibeis? 昨日ローマでワインを飲んだのは大量にですか?

疑問詞を使う疑問文では疑問詞が問いたい要素であることが明白であるため、 ne はつけません。ne なしに自由な位置で言うことができます。

  • Heri a Romae quem valde bibeis? 昨日ローマで何を大量に飲みましたか?

  • Quando a Romae vinum valde bibeis? いつローマでワインを大量に飲みましたか?

  • Heri ubi vinum valde bibeis? 昨日どこでワインを大量に飲みましたか?

  • Heri a Romae vinum quanto bibeis? 昨日ローマでワインをどれほど飲みましたか?

弱い疑問

疑問文は、疑問を示す (1) 疑問符 « ? », (2) 疑問助詞 « ne », (3) 疑問代名詞・疑問形容詞・疑問副詞 が一つでもあれば成立します。 このうち疑問符 « ? » は回答を期待する意志を明確に示します。 自問したり、疑問の心情を伝えるだけで回答を期待するわけではないなど、 弱い疑問を表すには、疑問符 « ? » を使わない言い方をします。

  • Il pluvius era ne. 雨、降るのかな。

  • Heri ubi vedeis. 昨日はどこに行ったのだっけ。

  • Cras a Romam vado ne. 明日ローマに行こうかな。

比較

比較級

比較級(より…な)は、語幹に « -ior » をつけて作ります。 元の形容詞がA/O型かE型かに関わらず、比較級 -ior はE型になります。

long-us 長い → long-ior より長い

longus 長い

女性

男性

中性

単数

主格

longior

longior

対格

longiorem

longior

奪格

longiore

longiore

複数

主格

longiori

longioria

対格

longiores

longioria

奪格

longioribus

longioribus

facil-is 易しい → facil-ior より易しい

facilis 易しい

女性

男性

中性

単数

主格

facilior

facilior

対格

faciliorem

facilior

奪格

faciliore

faciliore

複数

主格

faciliori

facilioria

対格

faciliores

facilioria

奪格

facilioribus

facilioribus

比較対象(…よりも)は前置詞 ante で表します。

  • Il Nilus ante Amazonae longior est. ナイル川はアマゾン川より長い。

  • Ante illo faciliores libros delle francogallicae recirco. あれよりも平易なフランス語の本を探しています。

最上級

最上級(最も…な)は、語幹に « -iximus » をつけて作ります。 元の形容詞がA/O型かE型かに関わらず、最上級 -iximus はA/O型になります。

long-us 長い → long-iximus 最も長い

longus 長い

女性

男性

中性

単数

主格

longixima

longiximus

longiximum

対格

longiximam

longiximum

longiximum

奪格

longiximae

longiximo

longiximo

複数

主格

longiximae

longiximi

longixima

対格

longiximas

longiximos

longixima

奪格

longiximis

longiximis

longiximis

facil-is 易しい → facil-iximus 最も易しい

facilis 易しい

女性

男性

中性

単数

主格

facilixima

faciliximus

faciliximum

対格

faciliximam

faciliximum

faciliximum

奪格

faciliximae

faciliximo

faciliximo

複数

主格

faciliximae

faciliximi

facilixima

対格

faciliximas

faciliximos

facilixima

奪格

faciliximis

faciliximis

faciliximis

比較対象(…の中で, …の間で)は前置詞 in や tra で表します。

  • Il Nilus nel mundo longiximus est. ナイル川は世界一長い。

  • Il faciliximus in libris delle francogallicae recirco. フランス語の本の中で最も平易なものを探しています。

不規則な比較級・最上級

原級・比較級・最上級が元の形と全く異なる形で対応するものがあります(補充法)。

原級

比較級

最上級

magnus 大きい

major より大きい

maximus 最も大きい

parvus, minutus 小さい

minor より小さい

minimus 最も小さい

bonus 良い

melior より良い

optimus 最も良い

malus 悪い

peior より悪い

peximus 最も悪い

multus 多い

plus より多い

plurimus 最も多い

原級比較

原級比較(同じくらい…な)は、 副詞 tamquam (…ほどに) を添えて表現します。

  • Istus librus tamquam illo libro difficilis. この本はあの本くらい難解だ。

副詞の比較

副詞は、形容詞のような比較級・最上級の形をもちません。 比較を表す副詞 plure 「よりいっそう…」、最上を表す副詞 plurimo 「最も…」 を添えることで表現します。

  • Ante me heri plure rapidamente currere volo. 昨日の自分よりも速く走りたい。

  • Il quum canta plurimo bene vince. 最もうまく歌う者が勝ちだ。

場所・空間の表現

ad, in などの基本的な前置詞で具体的な場所・空間を表現する他に、 以下のような慣用的な表現があります。

  • equi ここで、ここに

    • Mane equi. ここで待ってて。

    • Equi nostram casam construemo. ここに私たちの家を建てよう。

    • Equi nulla securitas est. ここは危険です。

  • ibi そこで、そこに

    • Tu, ibi quem facendo stas. お前、そこで何してる。

    • Ibi un Benz est. あそこにベンツが停まっていますね。

    • Ibi quasi in un somnio stai. そこはまるで夢の中だった。

  • ubi どこで、どこに

    • Ubi se vederamo ne? どこで会いましょうか?

  • alicubi あるところで、あるところに、どこかに

    • Mia clavis alicubi in miae casae esse debe. 鍵は家のどこかにあるはずだ。

  • ubique どこでも、どこにでも(譲歩節は接続法)

    • Ubique Deus est. 神は遍在する。

    • Is ubique dormire posse. あいつはどこでも寝られるんだ。

    • Haec porta ubique installata habilis est, nos ubique duce. このドアはどこでも設置できて、どこにでも導いてくれます。

    • Ubique escappes, aliquomodo te arresto. どこへ逃げようと、どんな手を使ってでもお前を捕まえる。

時間の表現

ad, in などの基本的な前置詞で具体的な時間を表現する他に、 以下のような慣用的な表現があります。

  • quando いつ

    • Quando id facis ne? Nunc! いつやるの?今でしょ!

  • alora そのとき、すると、そしたら

    • Alora tu quem faceis? それできみはどうしたんだ?

  • nunc 今、今しがた、ついさっき

    • Il trenum nunc alla stationem venutum est. 列車は今駅に到着した。

  • jam, ja もう、すでに

    • Il trenum ja delle statione partitum est. 列車はもう駅から出発してしまった。

  • etiam, ancora まだ、未だに

    • Il trenum etiam alle statione sta. 列車はまだ駅に停車している。

  • nondum まだ…ない

    • Il trenum nondum alla stationem venutum est. 列車はまだ駅に到着していない。

  • aliquando あるとき、いつか

    • Aliquando a Romam visitare volo. いつかローマを訪れてみたい。

  • interdum ときどき、たまに

    • Il mius cottus interdum nihil vide. うちの猫はたまに虚空を見ている。

  • semper いつも、ずっと、常に、いつまでも、永遠に

    • Semper te amo. ずっと君が好き。

    • Il prandium semper manco. 朝食はいつも抜きます。

  • umquam いつでも、どんな時でも

    • Umquam la speem tene. どんな時でも希望を持ち続けよ。

  • quandoque いつでも(譲歩節は接続法)

    • Bene, quandoque vadere posso. OK、いつでもいけます。

    • Quandoque eam visite se occupa. 彼女はいつ訪ねても忙しそうにしている。

  • saepe しばしば、頻繁に

    • Via magno nive li treni saepe obstructi sunt. 大雪のせいで列車がよく止まる。

  • denique, tandem ついに、やっと、ようやく

    • Nelle magnae nive, denique pro la stationem prossimam il trenum partitum est. 大雪の中、列車はようやく次の駅へ向けて発車した。

  • in principio, a principio, al primo まず、第一に、はじめに

    • Al primo te lava a tuo mano. まず手を洗ってください。

  • raramente まれに

    • Il corvus blancus raramente natus est. 白いカラスがまれに生まれる。

    • Raramente frequenta. まれによくある。

  • vix ほどんど…ない、まれにしか…ない

    • Ea nel scholam vix venutus est, dunque eam vix cognosco. 彼女は学校にほとんど来ないので、彼女のことはほとんど知らない。

  • haud まったく…ない

    • Ea nel scholam haud venutus est, dunque eam haud cognosco. 彼女は学校にまったく来ないので、彼女のことはまったく知らない。

年・月・日・時・分・秒の表現

時間

時間(間隔)は数詞で表現します。 量をもつので、2単位以上となる場合は複数形になることに注意してください。

  • 1 annus et 11 mensi 1年11ヶ月

時刻

時刻(いわゆるタイムスタンプ)は序数詞で表現します。 瞬間の位置をいうので、 ゼロからの距離が2単位以上であっても複数形でいうわけではないことに注意してください。 表記は YYYY-MM-DD hh:mm:ss の形式で、時間は24時間式です。

  • 2024-12-29 22:08:54 (2024mus annus, 12mus mensis, 29mus dia, 22mum hora, 8mum minutum, et 54mum secundum) 2024年12月29日22時8分54秒

相対的な時点

現在を基準とした絶対—​相対表現 (昨日〜今日〜明日 etc.) は、 基準時を « hic … »、 基準時より前を « ultimus … »、 基準時より後を « proximus … » または « secundus … » で表します。

ある時点を基準とした相対—​相対表現 (前日〜当日〜翌日 etc.) は、 基準時を « ille … »、 基準時より前を « praevius … »、 基準時より後を « posterus … » で表します。

  • Al ultimo anno mia mater moreit, et a postero die ea in mium somnium vedeit. 昨年母を亡くしたが、その翌日に彼女が夢の中に出てきた。

  • In secundo anno plures picturas pinga. 来年は絵をもっとたくさん描けますように。

  • A tre minutis posteris id aperire posse. 三分後に開けてよい。

今日 hodie, 明日 cras, 昨日 heri

今日・昨日・明日は、慣用的な副詞 hodie, cras, heri があります。

  • Hodie a Romam vado. 今日ローマに行きます。

  • Cras a Romam vado. 明日ローマに行きます。

  • Heri a Romae stai. 昨日ローマにいました。

これはあくまで副詞ですから、 名詞としては hic dia, ultimus dia, proximus (secundus) dia の形を使います。

  • Hic dia quis est? 今日は何の日?

前 prae, 後 post

基準時前後の副詞表現は、 前置詞 « prae … » 「…前に・で」, « post … » 「…後に・で」 を使って表現することもできます。

  • Post decem annos una bella adulta fema ero! 10年後には立派な大人の女性になるわよ!

  • Illum librum prae quinque minutis un homo comparatum habe. その本は5分前に一人の男が買っていかれました。

半 semi-

半分は semi- をつけます。 semisecundum, semiseptimana は形式としては存在しますが、一般に使われることはありません。

  • secundum 秒 > (semisecundum 0.5秒)

  • minutum 分 > semiminutum 30秒

  • hora 時間 > semihora 30分

  • dia 日 > semidia 半日

  • septimana 週 > (semiseptimana 半週)

  • mensis 月 > semimensis 半月

  • annus 年 > semiannus 半年

暦・季節の表現

いわゆる西暦は aera communa (共通暦) あるいは aera christiana (キリスト暦)といいます。 電話番号のように一桁ずつ数字を読み上げます。

  • Ad 1945 (un-nove-quattuor-quinque), WW2 finei. 1945年に、第二次世界大戦が終わった。

月 (mensis) は1月から12月まで il primus mensis 第一月 …​ il deca-secundus mensis 第十二月 のように言えますが、通常は次の固有名称を使います。

  • mensis 月

    • Januarius (Jan.) 1月

    • Februarius (Feb.) 2月

    • Martius (Mar.) 3月

    • Aprilis (Apr.) 4月

    • Majus (Maj.) 5月

    • Junius (Jun.) 6月

    • Julius (Jul.) 7月

    • Augustus (Aug.) 8月

    • Septermber (Sep.) 9月

    • October (Oct.) 10月

    • November (Nov.) 11月

    • December (Dec.) 12月

週 (septimana) は月曜日始まりで、月曜日から日曜日まで il primus dia 第一日 …​ il septemus dia 第七日 のように言えますが、通常は次の固有名称を使います。

  • septimana 週

    • lunedia (lun.) 月曜日

    • mardia (mar.) 火曜日

    • mercredia (mer.) 水曜日

    • jovedia (jov.) 木曜日

    • venedia (ven.) 金曜日

    • saturdia (sat.) 土曜日

    • dominica (dom.) 日曜日

四季 (quattuor temporia) は春から冬まで次のように言います。

  • quattuor temporia 四季

    • ver 春

    • aestas 夏

    • auctumnus 秋

    • hibernum 冬

程度・数量・回数の表現

  • quotus いくつの

    • Quotos panes esus habes, memoras? いくつパンを食べたか覚えているのか?

  • aliquotus いくつかの

    • A principio, haec terram in aliquotas partes divide. まず、この地をいくつかの区画に分割する。

  • quotoque いくつも、いくつでも(譲歩節は接続法)

    • Quotoque bombi cadendis veneno. 無数に爆弾が降ってきた。

    • Quotoque sit bene. なんぼあってもええですからね。

  • quantus どのくらいの

    • Quantus tempus passatus est. どのくらいの時間が経っただろう。

  • aliquantus ある程度の

    • Aliquantum errorem permitto. ある程度の誤差は許容する。

  • quantoque どのくらいでも(譲歩節は接続法)

    • Ea quantoque edi non adolesce. 彼女はどんなに食べても成長しない。

  • quemus 何番目の

    • A quemam lineam hoc tramen venera? その列車は何番線に来ますか?

  • quotiens 何回の

    • Hoc tramen per un die quotientes navettas face? その列車は一日何往復しますか?

  • aliquotiens 数回の

    • Cum aliquotientibus pugnis haec mechana se levait. 何度か叩くとその機械は動き出した。

  • quotiensque 何回でも、何度でも

    • Laputa non rue. Quotiensque renasce. ラピュタは滅びぬ。何度でも蘇るさ。

    • Quandoque, quotiensque いつも何度でも

  • plure もっと、さらに、いっそう

    • Il status borealis cum verbo plure forte il australem culpait. 北の国は南の国をいっそう強い言葉で非難した。

  • iterum, iter 再び、もう一度

    • Dico iter. Sorte. もう一度言う。出ていけ。

    • Face Romam magnam iterum. ローマを再び偉大にするのだ。

性質・属性の表現

  • talis そのような

    • Talis idea mihi non est. そのような意図はございません。

  • qualis どのような

    • Qualis color tibi place? どんな色が好き?

  • aliqualis ある種の

    • Hoc verbum aliqualem gentem irascera. その言葉はある種の人々を怒らせるだろう。

方式・理由・条件・論理の表現

  • ut, quomodo どのように、どうやって

    • Ut vales. いかがお過ごしかな。

    • Haec picturam quomodo pictam habes ne? この絵はどうやって描いたんだい?

  • aliquomodo ある方法で、何らかの方法で、どうにかして、どうやってでも

    • Magnam monetam aliquomodo colligare debeo. どうにかして大金を集めないといけない。

  • utique どうやっても、どうしようが、どのみち、いずれにせよ、とにかく

    • Utique ea morera. どのみち彼女は死ぬだろう。

    • Utique tu perdutus. いずれにせよ君の負けだ。

  • quor, perque なぜ、どうして

    • Quor eam non teneis ne. どうして彼女を引き止めなかったんだ。

    • Perque taces? どうして黙ってるの?

  • quare なぜなら…だから

    • Quare il jurem non habei. だって、私にその権利はなかったもの。

  • dunque, ergo, itaque したがって

    • Cogito, ergo sum. われ思う、ゆえに我あり。

  • pois そしたら、そうすると、それで、するやいなや

    • Aliquod fractum auditum habei, pois omnis nella noctem fuit. 何かの壊れる音がして、そしたら何もかもが闇に包まれた。

  • sei もし…、…ならば

    • Sei il caput est, alora tu vinis. Sei la cauda est, alora ego vinco. 表が出れば、お前の勝ち。裏が出れば、俺の勝ち。

  • et, e[VLG] 〜と、かつ

    • A plure alio et oleo. ニンニク・アブラマシマシで。

  • o, vel[ARC] あるいは、または

    • Disce, o discede. 学べ、さもなくば去れ。

選択の表現

  • uter どっち、どっちの

    • Uter delli capillis longis o brevibus tibi place? ロングヘアとショートヘアのどっちが好き?

    • Il longus o brevis, uter capillus tibi place? ロングとショート、どっちの髪が好き?

  • neuter どっちでもない

    • Neuter mihi place. どっちも好きじゃない。

  • uterque どちらでも、どちらも

    • Idens. Uterque metipse est. 同じよ。どっちも同じよ。

uter, neuter, uterque は二択(どっち)のみに使えます。 三択以上(どれ)は quis, nullus, ullus を使い、 « quis (tra …) » 「(…のうちの)何」, « nullus (tra …) » 「(…のうちの)何でもない」, « ullus (tra …) » 「(…のうちの)何も」 などと言います。

あいさつ・その他ひとこと表現

  • amabo, per favore お願いします、よろしければ、どうか

    • Un bicarium de vino, per favore. ワインを一杯お願いします。

  • ecce ほら

    • Ecce illa aranea magna! 見ろ、あのでっかいクモ!

  • salve(一人に対して), salvete(複数人に対して) やあ、どうも、こんにちは

    • Salvete. ― Salve magistra! みなさんこんにちは。 ― 先生こんにちは!

  • vale(一人に対して), valete(複数人に対して) では(さようなら)、ばいばい

    • Valete. ― Vale magistra! みなさんさようなら。 ― 先生さようなら!

  • addeum, adeo さようなら(もう会うことはないお別れ)

    • Te memoro semper. Adeo. あなたのことは一生忘れません。さようなら。

  • bonmatuta おはよう(太陽が昇っていく時間帯、4時〜8時頃)

    • Bonmatuta. Bellus caelus est. おはようございます。いい天気ですね。

  • bondie こんにちは(太陽が空を大きく横切る時間帯、8時頃〜16時頃)

    • Bondie. Il prandium ja prensum habes ne? こんにちは。もう昼食は召し上がりましたか?

  • bonsero こんばんは(太陽が沈んでいく時間帯、16時頃〜20時頃)

    • Bonsero. Hodie calidum eba. こんばんは。今日は暑かったですね。

  • bonnocte こんばんは(太陽が全く出ていない時間帯、20時頃〜翌4時頃)

    • Bonnocte. Ecce illa luna clara. こんばんは。見てください、あの明るい月。

  • veramente 本当に、実に

    • Veramente illud sanctuarium fractum habes ne? 本当にあの祠を壊したのか?

  • gratias ありがとう

    • Gratias mille. ありがとう、とても。

  • perdone ごめんなさい、すみません

    • Perdone, haec mercx nobis non est. すみません、その商品はうちにはないんです。